選ばれる銀行であるために―  イセトーUDを活用し、 「顧客起点」の取り組みを加速!

三井住友フィナンシャルシャルグループ・三井住友銀行様×株式会社イセトー

  • TOP
  • 導入事例
  • 選ばれる銀行であるために―  イセトーUDを活用し、 「顧客起点」の取り組みを加速!

イセトーUDで、 「顧客起点」の取り組みを加速

三井住友フィナンシャルグループの中核を担う三井住友銀行様。同行では長年、顧客本位の業務運営に向けた取り組みを続けており、その一環として2015年よりユニバーサルデザインの推進を開始し、2017年からはイセトーのユニバーサルデザインサービスを導入。そうした取り組みの結果、2019年度から2023年度まで5年度連続でUCDAアワードの各賞を受賞しています。ユニバーサルデザイン推進の背景や効果などについて、三井住友フィナンシャルグループ執行役専務であり、三井住友銀行 リテール部門統括責任役員の山下剛史様、三井住友銀行 ライフシフト・ソリューション部長の茂木武志様、コンサルティング業務部 企画グループ 上席推進役の金野和代様にお話を伺いました。

集合写真
三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務
三井住友銀行 リテール部門 統括責任役員 山下剛史様(写真中央)
三井住友銀行 ライフシフト・ソリューション部長 茂木武志様(写真左)
三井住友銀行 コンサルティング業務部 企画グループ 上席推進役 金野和代様(写真右)

※部署・役職はインタビュー当時のものとなります。

お客さまに選ばれる銀行であるために力を尽くす

――2017年よりイセトーのユニバーサルデザインサービスを導入されていますが、その背景をお聞かせください。

山下様:銀行はサービス業ですので、お客さまに三井住友銀行(以下、SMBC)の商品やサービスをお届けするには、お客さまに選ばれる銀行でなければなりません。それには他行にはない魅力的な商品やサービスをご提供できるように、また私たち役職員が信頼できる人材であるように努力することが第一だと思います。同時に、当行がお客さまにお伝えしたいことがしっかりと伝わるように全力を尽くすことが非常に重要だと考えています。

三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務
三井住友銀行 リテール部門 統括責任役員 山下剛史様

こうした「顧客起点」という基本的な考えに基づけば、お客さまにご提供する資料のわかりやすさや見やすさを高めることは必須のことであり、その想いがユニバーサルデザインの取り組みへとつながっていったのです。

取り組みをさらに加速するきっかけとなったのは、2017年に金融庁が公表した「顧客本位の業務運営に関する原則」です。当行はこの原則を採択する形で「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を策定・公表し、その方針の1つに「重要な情報のわかりやすい提供」を掲げました。当行は要請されてユニバーサルデザインを含む顧客本位の業務運営を開始したのではなく、そもそも顧客本位の業務運営をしてきたことを2017年に公表した――そう自負しています。そして、現在も各資料のユニバーサルデザイン化を推進することで、「わかりやすさ」「見やすさ」のさらなる高品質化を図っているところです。

お客さまにとっての「わかりやすさ」を追求する

――2019年度から2023年度まで5年度連続でUCDAアワードの各賞を受賞されています。それらの作品について簡単にご紹介ください。

金野様:初めてユニバーサルデザインの観点で見直した資料は「総合商品ラインアップ」でした。これは、主に「これから資産形成を始める方」へ銀行の金融商品の特徴やリスクなどを説明する際に使用するツールです。そのため特にわかりやすさが求められるという考えから最初にUCD化し、2019年度のUCDAアワードにエントリー、UCDAアワード賞を受賞しました。

三井住友銀行 コンサルティング業務部 企画グループ 上席推進役 金野和代様

2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、お客さまとの対面でのコミュニケーションが難しい時期だったため、お客さまがご自身で自分に合った資産形成を考えていただけるよう、アンケート形式のチラシを作成しました。その結果、UCDAアワードの「情報のわかりやすさ賞」をいただきました。

お客さまにとってのわかりやすさをさらに追求するため、2021年度はNISA(少額投資非課税制度)などの税制を活用した資産形成のご提案ツールとして、印刷物と動画の相互補完というコミュニケーションデザインに初めて挑戦し、UCDAアワード賞を受賞。さらに、2022年度はWebと印刷物とのコミュニケーションデザインを考え、Webで将来の年金受給額を試算できる「年金試算シミュレーション」と、お客さまが将来のお金について考えるきっかけとなるワークシート形式の印刷物を作成し、同じくUCDAアワード賞をいただきました。

当初はご高齢のお客さまが動画やWebを使ってくださるだろうかという不安もありました。2022年度のWebサービス「年金試算シミュレーション」は少ないステップで簡単にご自分の年金受給額がシミュレーションできるようにしたため、パソコンやスマートフォンを使い慣れていないお客さまにも非常にわかりやすいとご好評をいただいています。

ご自身の想いを家族につなぐ2つのツールを制作

――2023年度は「つなぐ ~未来ノート~」という印刷物と「SMBCデジタルセーフティボックス」というデジタルサービスのコミュニケーションデザインが高く評価され、UCDAアワード賞を受賞されました。「つなぐ ~未来ノート~」はどのようなツールですか。

金野様:お客さまが銀行に来店する主なきっかけとしては就職時、住宅購入時、退職時があり、中でも退職時はその前後で時間の使い方が大きく変わると考えられます。このようにお客さまのライフステージが変化するタイミングで、お客さまにとって有益な情報を提供し、より豊かな生活を送るためのお手伝いをすることは、私たち銀行の役割の1つだと思います。そうした考えから制作したのが「つなぐ ~未来ノート~」です。

「つなぐ ~未来ノート~」は、お客さまご自身が退職を機に「過去」を振り返りながら「今」の想いや考えを整理し、さらにこれからの「未来」をイメージして紙に書き記すことで、豊かで幸せな未来につなげていただきたいと考え制作したワークシートです。紙に書くことでご自身の想いや考えを整理することができ、また思い出の写真や雑誌の切り抜きを貼るなどご自身の自由にお使いいただくことができます。

お客さまが主役のノートであることをお伝えするとともに、お客さまが残したノートをいつかお子さまやお孫さまが手にされたときに「銀行の資料」だと受け止められないように、あえて銀行のコーポレートカラーやロゴは入れずに制作しました。また、退職は新たな人生の出発点という思いを込め、紅白の水引をモチーフに明るくやわらかいデザインとしています。

――一方の「SMBCデジタルセーフティボックス」はどのようなサービスでしょう。

茂木様:デジタル化が進む今、多くの方がいくつものIDやパスワードをお持ちだと思います。2021年よりご提供を開始した「SMBCデジタルセーフティボックス」は、そうした身近な情報から預貯金・有価証券といった資産情報、老後の医療や葬儀に対する考え方、さらには動画まで、万が一のときにご家族に伝えたいことなどを銀行のセキュリティ環境にお預けいただけるデジタルサービスです。

いわば「情報管理」と「エンディングノート」の両方がデジタル上で実現できるものです。なお、お客さまに万が一のことがあった場合は、あらかじめ指定いただいた方に登録情報をご案内し、お客さまの情報や想いをつなぐことができるようになっています。

三井住友銀行 ライフシフト・ソリューション部長 茂木武志様

ご存じのように、資産情報などを含む個人情報を取り扱う銀行は、強固なセキュリティ環境を構築しています。そうしたセキュリティ環境でお客さまの大切な情報やご家族に伝えたい想いなどをお預かりするデジタルサービスは、これまでにない革新的なサービスと言えると思います。

UCDを体現するサービスの提供を目指して

――「つなぐ ~未来ノート~」と「SMBCデジタルセーフティボックス」のコミュニケーションデザインにおいてはどのような工夫をされましたか。

金野様:「つなぐ ~未来ノート~」は紙なので書くことで想いや考えを整理できますし、写真や雑誌の切り抜きを貼るなど自由に使うことができます。しかし、書くことの負担や紛失したときの不安があり、あまりセンシティブな情報は記載しづらいというデメリットがあります。一方、「SMBCデジタルセーフティボックス」はデジタルサービスなので何度も登録し直すことができ、大切な情報を強固なセキュリティ環境で保存できます。しかし、保存可能な容量などの制約があり、写真や雑誌の切り抜きをそのまま残すことはできません。

紙である「つなぐ ~未来ノート~」とデジタルサービスである「SMBCデジタルセーフティボックス」、それぞれのメリットを活かすとともに、デメリットを補完し合うにはどのようなコミュニケーションデザインが考えられるかについて、イセトーと時間をかけて検討しました。その結果、お客さまにお伝えしたい商品・サービス情報はすべて「SMBCデジタルセーフティボックス」に掲載し、紙に掲載する情報は最小限に絞り、紙に印刷された2次元コードを読み取ることで詳細な情報を得られる設計としました。この設計により、お客さまはご自身の想いを紙に書きながら、必要な情報をWebで入手し、その情報をもとにさらに考えを深める――、そうした使い方をしていただけるようになったと考えています。

茂木様:お客さまは、「つなぐ ~未来ノート~」に書き記す過程でご自身の本当に大切なものを再認識されると思います。その大切なものを「SMBCデジタルセーフティボックス」にお預けいただく上で、お客さまに安心をお届けするにはどうしたらよいか。「SMBCデジタルセーフティボックス」へスムーズにお入りいただける導線の設計に苦労しました。

当初、「SMBCデジタルセーフティボックス」のトップページには商品概要を掲載しようと考えていました。しかし、企画段階から入ってくれたイセトーからユーザーの立場に立った意見や指摘を数多くもらいながら検討した結果、トップページには商品ではなく、お客さまのニーズを掲載するという答えにたどり着いたのです。まさに当行の基本的な考えである「顧客起点」に基づいた導線であり、その結果、多くのお客さまに「SMBCデジタルセーフティボックス」の価値を認識していただき、OMO(on-line merges with off-line:オンラインとオフラインの融合)の実現につながったと思います。

山下様:コロナ禍により提案から成約までをデジタルで行う機会が増えたことで、UCD(ユーザーセンタードデザイン)を体現したサービスの位置づけがさらに高まったと言えます。そうした観点から見ると、「SMBCデジタルセーフティボックス」は非金融商品であり、また申し込みから日常の利用、ご家族への共有まですべてをデジタルで完結できます。さらに操作性や表示などもわかりやすく工夫している点など、まさにUCDを体現したサービスであり、お客さまからは従来の銀行の金融商品とは異なるサービスとして非常に喜ばれています。

イセトーは目指すものを一緒につくり上げる仲間

――イセトーのユニバーサルデザインサービスを導入してから7年が経過しましたが、職員の方たちのユニバーサルデザインに関する理解や取り組み姿勢などに変化はみられますか。

山下様:当行は従前よりユニバーサルデザインを含む顧客本位の業務運営に向け取り組んでいましたが、2017年当時はUCDA認定資格を保有する職員はいませんでした。そのため、お客さまにとって「わかりやすい」「見やすい」という基準も、個人の感覚による部分が多かったと思います。7年後の現在、SMBCグループ合算で約350名がUCDA認定2級を保有しており、うち1級保有者は6名おりますので、ユニバーサルデザインに対する職員の意識は確実に醸成されてきていると考えています。

――この7年間のイセトーのサポートはいかがでしたか。

茂木様:私たちはどうしても銀行員としての目線でものを見がちですし、商品やサービスのことを真っ先にお伝えしたくなってしまいます。そうしたときに、イセトーはユーザーの目線、言い換えれば「顧客起点」で考えることの大切さを真正面から意見してくれる。私たちにとっては、それが一番ありがたいですね。

金野様:当行の商品や施策をしっかり理解したうえで、ものづくりやソリューションの提案をしてくれる点に非常に感謝しています。例えば、「つなぐ ~未来ノート~」と「SMBCデジタルセーフティボックス」のコミュニケーションデザインに関しては、「SMBCデジタルセーフティボックス」の概要や申込方法などを勉強し、当行のホームページからの導線なども事前に研究してくれていました。社員の皆さんが実際の画面を使ってご自身で試した中での気づきを教えてくれるので大変参考になります。

イセトーはブリーフィングをなによりも重要に捉えてくれていると感じます。何度もコミュニケーションを取りながらものづくりを完遂するプロセスは、当行がユーザーでありイセトーが制作側であるといった関係を超え、一緒につくり上げている仲間という感覚を強く覚えます。そうした一体感や信頼感がUCDAアワードなど外部の評価、営業店における使いやすさ、お客さまにとってのわかりやすさにつながっている――そんなふうに思っています。

誰もが「心地よい」と感じられる世の中を創る

――貴行にとってユニバーサルデザインはどのようなものでしょうか。

山下様:2024年4月より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行され、私たち事業者には「合理的配慮の提供」にかかる具体的な取り組みが求められます。「障がい者への合理的配慮」とは、障がいのある人が障がいのない人と同じように行動したり、サービスの提供を受けたりすることができるよう、それぞれの違いに応じた必要かつ合理的な対応を行うというものであり、これはまさに「顧客起点」の基本であると考えています。誰もが「心地よい」と感じられる世の中を創る――。私たち企業はそうした社会的価値の創造を担っていく必要があり、ユニバーサルデザインはそれを実現する1つの手段であり、考え方だと思います。

――今後の展望をお聞かせください。

山下様:お客さまとの接点は、店頭での対面形式だけでなく、Webやお電話などの非対面形式がますます増えています。そうした中で、いずれのチャネルであってもお客さまに「SMBCは便利な銀行だ」と思っていただけるよう、「便利さ」「心地よさ」を体感いただける高品質なサービスをご提供していきたいと考えています。お客さまに選ばれる銀行であるために、SMBCはこれからも力を尽くしていきます。

  • 株式会社三井住友フィナンシャルグループ

    所在地 :
  • 株式会社三井住友銀行

    所在地 :

導入したサービス